大食いモンスター

これまで、全くの健康人が鬱病になり気晴らしにスキーに行くも骨折、入院生活で得た事

トップセールスになるのは簡単かも知れない

営業成績が伸び悩んでいる人に参考になれば!

入院して、翌日が手術となると、麻酔科の医師が、ベッドまで来てくれて手術の流れを話す事になっている。

やや年配の男性医師が来て約20分くらい話してた。手術について20分も話すなんてあり得ない。ほんの2、3分でいい。残りの時間、その医師はひたすら患者に話をさせる。私の場合は「仕事は何か」と聞かれた。「私はインフラ関連の図面を描いてる」と答えると、それについて深掘りして聞いてくる。と、なると、その医師に饒舌に都心部の地下構造の話なんぞをし始め、自分にはこんな専門知識があるのかと気持ちよくなってくるのだ。

その医師は、時折、メモまでとり、ひたすら私の話を聞いて「なるほどー」とか「そうなんだぁー」と、初めて聞く時に感動する言葉を発する。

自身の話は一切せずに、患者が気分良く話をさせる事に徹する。手術とは全く関係のない事を話させて、興味深く聞いてくれる。や「聴いて」くれる。

これは、手術の恐怖心を取り除くためのマニュアルなのか、この医師個人の特性なのかは分からぬが、この医師が、保険などの外交員だったら、保険の説明そこそこで、私は契約したであろう。

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私は新卒で入社したのは証券会社で不本意な営業に配属。すごく苦手で、顧客の手持ち資金を別の商品に転がして手数料を稼ぐのが精一杯で、新規資金の導入など、ほとんど出来なかった。だから、黙々とした図面屋になった訳だが。

私の営業ときたら、ひたすら商品説明。

「これからは、この株が上がりそうなので……」

「今後、円高になれば……」

「利回りは○%が予想される理由は……」

と、初っ端からこんなフレーズで始まり、相手はだんだん辟易してきて「検討しておきますね」と言って、契約不成立。f:id:clerkcoco:20230212101150j:image

その当時、外資系証券会社の年収1億円超えの営業マンと知り合った。元々は、あまり名の知れてない中小の証券会社からヘッドハントされて外資系に転職。彼の顧客には、誰もが知る有名人も多々いて「営業のコツを指南してくれー」と頼んだ。

すると、あっさりこう言われた。

「営業にコツなんてないよ。俺は夜な夜な六本木にある高級雀荘に行く。そこには、金持ちしか出入りしてない。麻雀していっぷくしてる間に、名刺交換なんぞして、気づけば顧客になってたって感じ。むこうから『自分の資産運用お願い出来ないか』って言ってくるんだよ」

なーるほどー。と、思うものの、私は麻雀出来ないし、夜中に六本木なんて大それた事も出来ないので、証券会社は輝かしい成績を残す事なく寿退社。

「雑談力」はハードル高し

雑談力をビジネスに活かすと言う本が出回っているが、これは結構ハードル高いと思う。新聞や本を熟読して、話題を溜め込んで、簡潔に面白く伝えるなんてのは、生まれ持っての才能が無ければ出来ない。

余談になるが、図面の仕事を始めたばかりの頃、ある工事現場の事務所に勤務してたのだが、そこに出入りする金属業者のおっさん、みごとな関西弁で、まぁ話が面白いのなんのって。もちろん、このおっさん「我が社の製品は、かように優れてまして」なんて事は相手が聞かない限り言わない。金属の業者はどこも似たり寄ったりだから、こんなオモロいおっさんが、毎度来てくれるならこの会社と取引しようかなと思ってしまうわな。

後に聞いた話だと、このおっさん、元は、よしもとの芸人で、全く芽が出なくてサラリーマンになったとの事。こんなに人を笑わせる話術を持ってしても、芸人を降りるとは、いかに厳しい業界だとわかる。

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「傾聴力」は誰でも簡単に身につくのでは

そこで、先の麻酔科の医師の話にもどる。私の病室は私を除いてみんな80歳以上。そんな婆様たちにも、若い時の話やら、家族の話、趣味の話を聞き出すと、まぁよく喋ること。長く生きてきた分、たくさん話題はあるわな。ある婆様が「私しゃ18の時にぁ、お針子の仕事して………」と男性からすれば超つまんない話でも「どんな物を縫ってたのですか?」と、どんどん喋らせる。そうなると、その婆様は自分がお針子さんだった事に誇りを持ち始めて、最高に気分良くなるわけだ。

とにかく相手に話をさせて、演技でも良いから関心を持って「聴く」と言うのは、口下手な人でも簡単に出来るのでは無いかと思う。

ただし、どんな質問をするかの見極めは必要。仕事に悩んでいて鬱ぎみな人は、悩みを聴いて欲しい場合もあれば、今は触れないで欲しいと言う状態だったりもある。相手の目を見て、この話題はダメと思ったら、家族の話に変えたり、家族関係が上手く行ってないと察知したら、趣味と、しっかり相手の目と表情を見て、何を話させるかだけしっかり捉えて、後は最大の敬意と関心をもって聴くだけだ。

誰だって、自分の事に関心を持ってもらうのは嬉しい。自分が好きな事を興味深く聴いてくれるのは嬉しい。こうして、相手のハートをガッツリ掴めば、下手な商品説明など不要だ。

これなら、営業マンとしてかなりハードル低くこなせる技ではないかと、麻酔科の医師に教えられた。

人を眠らせ騙されるのが本業の麻酔科の医師が、なんちゅー恐るべし。

ここで、自分が証券会社で営業してた時の事に立ち返ってシュミレーションしてみる。

新規開拓の時は、ピンポーンとベルを押し、インターフォンで「○○証券の者ですがぁ」と言うと「うちは結構です💢」とバッサリやられるので、自宅の外に出てる人に道でも聞くふりをして、身分を明かさずお近づきになり「この辺は閑静で住みやすそうですえねぇ。何年くらいお住まいで?」それに乗ってきたら、麻酔科医師技法で前進だ!乗っかって来なくても、会う度に挨拶してれば何らかの反応をするだろう。